幼稚園・保育園・学校法人のお客様へ

幼稚園・保育園・学校法人のお客様へ

幼稚園・保育園・学校法人は、多数の人が関わるところであることから、様々なトラブルや法的問題が生じるリスクがあります。
これらの問題に、内部の教職員だけで対応しようとすると、かえって後手に回り、トラブルが大きくなってしまう危険性があります。
そこで、今回は、幼稚園や保育園、学校法人にどのような問題があり、それらに対して弁護士がどのような形で対応できるかについて解説します。

1 幼稚園・保育園・学校法人が抱える問題

幼稚園や保育園、学校法人が抱える問題は多岐にわたりますが、ここでは、主要なものを3つ取り上げます。

1-1 教職員や保育士の労働問題

幼稚園や保育園、学校法人が抱えるひとつめの問題は労働問題です。
公立学校の教員には法律上残業代の支給は認められていませんが、私立の学校法人や幼稚園、保育園の教職員は残業をすればそれに見合った残業代を受け取る権利があります。
また、教職員・保育士間のパワハラ、セクハラ、マタハラ、教員から学生へのカスハラなどのハラスメント問題が発生するリスクを抱えています。

1-2 いじめ問題

次にあげられるのがいじめの問題です。
一般的にいじめの問題として取り上げられるのは、通学・通園している子どもの間の問題です。そして、子どもの間のいじめが深刻化するのは、小学校以上の学校です。
いじめの問題はこれにとどまらず、教職員・保育士間でも発生するリスクがあります。大人のいじめの問題もまた深刻な問題であることに変わりはありません。

1-3 モンスターペアレントの問題

モンスターペアレントの問題も深刻です。
電話をかけてきたり、直接来所したりして、不当な要求や苦情を執拗に述べ、自身が望む対応をさせようとする父兄は、おそらくどこにおいても一定数見られます。

2 発生した問題を放置する法的リスク

1で挙げた問題について何ら手当をせずに放置すると、以下のような法的リスクが発生します。

2-1 教職員の労働問題:法的請求のリスク

残業代の問題を放置すると、教職員や保育士から未払残業代の請求を受ける可能性があります。
請求の前提としてタイムカードや出退勤簿の提出を代理人の弁護士などから求められる場合もありますが、これを放置していると推定で計算がなされ、請求されます。
一般的に、最初は裁判外で内容証明郵便等で請求がなされますが、これを放置すると訴訟が提起されたり労働審判が申立てられたりします。
訴訟や労働審判においては、請求する残業代とともにこれと同額の付加金が請求されるため、事案によっては、かなり高額の請求がなされることとなります。
そして、訴訟や労働審判に誠実に対応しないと、裁判所によって判決や審判が下され、高額な残業代を支払わなければならない事態に追い込まれます。
サービス残業が常態化しているにもかかわらず放置していると、労働基準監督署による調査などが実施されるリスクもあります。
また、ハラスメント問題を放置すると、ハラスメントをした本人が慰謝料を請求されるだけでなく、監督責任を果たしていないとして、幼稚園や保育園、学校法人側も同様の請求をされる恐れがあります。
被害者が労働基準監督署などに相談して、記録が残ってしまうリスクもあります。

2-2 いじめ問題:父兄からの責任追及を受けるリスク

子ども間のいじめ問題について何ら対応せずに放置していると、父兄から責任追及を受けるリスクがあります。
特にいじめに耐えられず転校したり転居したりした場合、いじめを受けた子どもが自殺するなど最悪のケースに至った場合には、その子どもや父兄には大きな財産的損害が生じるほか、多大なる精神的苦痛も負うこととなります。
そうすると、いじめをした子どもの親に対してだけでなく、幼稚園や保育園、学校法人も、慰謝料や損害賠償の請求を受けるリスクがあります。
一方、教職員や保育士間のいじめについては、ハラスメントと同様のリスクが生じることとなります。放置しているといじめをした本人だけでなく、幼稚園や保育園、学校法人も監督責任を問われ、慰謝料や損害賠償を請求される他、労働基準監督署に被害申告されるリスクがあります。

2-3 モンスターペアレントの問題:学校業務が停滞するリスク

モンスターペアレントの問題を放置しておくと、不当要求を繰り返す父兄の要求や威圧が徐々に激化してその対応に追われ、学校業務が停滞するリスクが生じます。
また、特定の教職員に対応を任せると、その教職員に過重な負担がかかることとなり、心身の健康を害する危険もあります。労働災害に該当するとして保険金給付の対象となる可能性があるほか、父兄だけでなく、対応を押し付けたとして、幼稚園や保育園、学校法人が慰謝料や治療費等の損害賠償の請求を受けるリスクもあります。

3 弁護士が果たす役割 

以上のような法的リスクを抱える幼稚園や保育園、学校法人において、弁護士が果たす役割はとても大きいといえます。具体的には、以下のとおりです。

3-1 教職員の労働問題:労務管理に対するアドバイス

残業代問題を解決するには、労働時間の管理とこれに対応した賃金を支払う意識づけを幼稚園や保育園、学校法人の経営者側に対して行い、残業代を支払う体制が整っていない場合には、その体制づくりについて弁護士が助言することが可能です。
また、ハラスメント問題に関しては、学校法人等の内部にこれらの相談窓口がない場合には相談窓口を作るように、またどのような人選が適切かなどを弁護士がアドバイスすることが可能です。
さらに、実際にハラスメントが申告された場合には、当事者や関係が近い教職員らに事情聴取等を行って、ハラスメントの事実の有無や事実があった場合にその内容について調査し、意見書としてまとめて提出することも弁護士は可能です。
法的請求がなされた場合に、幼稚園や保育園、学校法人側の代理人を弁護士が務め、不当に高額な金員の支払いを防ぐ役割を担うことも可能です。

3-2 いじめ問題:いじめに対する調査、学校側の対応のアドバイス

いじめ問題に対応する部署がない場合には、対応部署の立ち上げ、実際のいじめ問題の調査を弁護士が担うことが可能です。
実際にいじめが発生し、幼稚園や保育園、学校法人としていじめを受けた子どもやその父兄に謝罪が必要な場合には、幼稚園や保育園、学校法人の代表らと同席して事情説明等を行うといった対応も可能です。
また、労働問題の場合と同様、法的請求を受けた場合には、代理人として、支払うべき賠償などを適切な金額にするべく対応することももちろんできます。

3-3 モンスターペアレントの問題:対応マニュアルの作成、警察対応

モンスターペアレント問題については、まず、教職員や保育士の心身の疲弊、業務の停滞といった事態が起こらないようにするため、対応マニュアルを作成し、教職員らに対して研修を行うといった活動をすることができます。
また、実際にモンスターペアレントに対峙し、要求などが違法であることを伝えるなどして、鎮静化させる役割を果たすことも可能です。
モンスターペアレントの問題は、場合によっては、威力業務妨害罪、強要罪、脅迫罪などの犯罪に該当することも少なくありません。このような場合に該当すると判断した場合には、学校法人等の担当者らとともに警察に相談に行ったり、被害届や告訴状を提出するといった役割を果たすことも可能です。

4 幼稚園・保育園・学校法人が抱える問題についてお気軽にご相談ください

幼稚園や保育園、学校法人が抱える問題について、弁護士が幅広く対応できることがお分かりいただけたと思います。
当事務所では、本稿で解説した問題やそれ以外の幼稚園・保育園・学校法人の問題に幅広く対応しております。
問題を抱えているものの解決策がわからないある場合や今後リスクが生じる可能性がある場合など、是非、お気軽に当事務所にご相談ください。

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