牧野英語・国語塾のコラムをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、英単語の学習法について、特に学習初期段階における注意点を取り上げます。「単語を覚えるなら、似た意味の言葉(同義語・類義語)も一緒に覚えるのが効率的」というアドバイスを聞いたことがあるかもしれません。しかし、特に英語学習の初学者にとっては、この方法が必ずしも効率的ではなく、むしろ逆効果になる可能性があります。今回はその理由と、初学者におすすめの単語学習アプローチについて解説します。
1. 「まとめて覚える」ことの魅力と、初学者の現実
確かに、関連する単語をグループで覚えるという方法は、一見すると非常に効率的に思えます。一度に多くの単語に触れられ、単語同士の意味の関連性や微妙なニュアンスの違いまで学べるように感じるかもしれません。中級以上の学習者が語彙を爆発的に増やす段階では、この方法は有効な勉強法となり得ます。
しかし、英語学習を始めたばかりの初学者の場合、状況は異なります。まだ一つ一つの単語の基本的な意味や用法、発音すら曖昧な段階で、似たような意味を持つ複数の単語に同時に向き合うことは、学習上の負担が大きく、かえって習得の妨げになる可能性があるのです。
2. なぜ初学者には非効率なのか? 考えられる理由
初学者が同義語・類義語を同時に学習することが非効率になりがちな理由として、以下の点が考えられます。
- 記憶の「混同」が起こりやすい: 似た意味を持つ単語を、それぞれの基本的な使い方が定着する前にまとめてインプットしようとすると、記憶の中で区別があいまいになり、混同してしまうことが少なくありません。例えば、「begin」と「start」を単に「始める」とだけ覚えた場合、実際の文脈でどちらを使うべきか迷ったり、ニュアンスの違いを理解しないまま使ってしまったりしがちです。
- 学習負担が大きすぎる: 初学者は、新しい単語の「スペル」「発音」「基本的な意味」「簡単な使い方」を一つ一つ覚えるだけでも、多くの集中力を要します。そこに加えて、複数の類義語の意味の違いや使い分けまで同時に意識しようとすると、一度に処理すべき情報量が多くなりすぎ、結果的にどの単語も中途半端な理解や記憶に終わってしまいがちです。
- 曖昧な理解に繋がりやすい: 一つ一つの単語に対する理解がまだ浅い段階で、無理にそれらを関連付けようとしても、かえって個々の単語の持つ具体的なイメージやニュアンスがぼやけてしまうことがあります。まずは一つの単語の核となる意味をしっかり掴むことが大切です。
これらの点を考慮すると、初学者の段階においては、「同義語・類義語をまとめて覚える」ことよりも、まずは基本的な単語を着実に習得することを優先する方が、結果的に効果的な場合が多いと言えるでしょう。
3. 初学者におすすめの単語学習アプローチ:「一つずつ、確実に」
では、初学者はどのように単語学習を進めるべきでしょうか。焦らず、着実に語彙力を伸ばすための基本的なアプローチは、「一つ一つの単語と丁寧に向き合う」ことです。
- コア・ミーニング(中核的な意味)の理解を最優先に: まずは、その単語が持つ最も基本的で中心的な意味(コア・ミーニング)をしっかりと捉えましょう。多くの単語帳でも、その単語のイメージや核となる意味が解説されています。
- 例文の中で使い方を覚える: 単語単体ではなく、必ず短い例文やフレーズの中で、その単語が実際にどのように使われるのかを確認しましょう。どのような単語と結びつきやすいか(コロケーション)、文の中でどのような位置に来るのか、などを意識すると良いでしょう。
- 発音もセットで: 正しい発音を音声で確認し、自分でも声に出してみる習慣をつけましょう。音と意味を結びつけることで、リスニング力やスピーキング力にも繋がります。
- アクティブリコールと分散学習: 覚えた単語は、ただ見返すだけでなく、「思い出す」練習(アクティブリコール)を、適切な間隔を空けて(分散学習)行うことで、記憶への定着率が高まります。まずは個々の単語を確実に長期記憶に残すことを目指しましょう。
「急がば回れ」という言葉があるように、特に語学学習の基礎固めの段階では、一つ一つ着実に積み重ねていくことが、結果的に最も確実で効率的な道となります。
4. 同義語・類義語の学習はいつから?
では、同義語や類義語といった、単語同士の関係性やニュアンスの違いに目を向ける学習は、いつ頃から始めるのが効果的なのでしょうか。前提として、まずは基本的な語彙とその使い方をしっかり身につけることが重要です。その上で、早くても英検®2級程度のレベルを目安に、単語同士の関係性やニュアンスの違いへと学習を広げていくのが効果的でしょう。
基本的な語彙力が土台としてあって初めて、似た意味の単語を比較検討し、それぞれの単語が持つニュアンスや文脈による使い分けを深く理解することが可能になります。例えば、「言う」を表す say, tell, speak, talk のような単語も、基本的な意味と用法をそれぞれ押さえた上で比較するからこそ、その違いが明確になり、表現の幅が広がっていくのです。
5. 牧野英語・国語塾での単語学習サポート
牧野英語・国語塾では、このような言語習得の段階や原則を踏まえ、生徒一人ひとりのレベルに合わせた単語学習をサポートしています。
- 基礎語彙の徹底: 特に初学者や基礎固めが必要な生徒には、コア・ミーニングと基本的な使い方に焦点を当て、一つ一つの単語を着実に定着させることを重視します。無理に類義語まで一度に覚えようとすることは推奨していません。
- レベルに応じた語彙指導: 生徒の語彙力や理解度に応じて、適切なタイミングで同義語・類義語、反意語、派生語などを紹介し、語彙ネットワークの構築を助けます。
- 文脈重視の学習: 単語テストだけでなく、長文読解や英作文といった実際の文脈の中で単語に触れ、使い方を学ぶ機会を多く設けています。
- 国語力との連携: 日本語においても、言葉のニュアンスや使い分けは重要です。国語の学習を通じて培われる語彙感覚や言葉への意識が、英語の語彙学習にも良い影響を与えます。
- 個別学習プランの提案: 生徒の目標や学習ペースに合わせ、最適な単語帳の選定や学習計画について、個別面談などを通じてアドバイスします。
6. 最後に:焦らず、着実な一歩を
英単語学習においては、「効率」を求めるあまり、自分のレベルに合わない方法や、かえって混乱を招く方法に飛びついてしまうことがあります。特に英語学習を始めたばかりの頃は、焦る気持ちを抑え、一つ一つの単語と丁寧に向き合い、基本的な意味と使い方を確実に身につけることを大切にしてください。
土台がしっかりすれば、その上に積み重ねられる知識の幅も深さも大きく変わってきます。牧野英語・国語塾では、皆さんの着実な語彙力向上を、個々のペースに合わせてサポートしていきます。学習方法についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。(名古屋市西区、浄心駅近くにございます)
一歩一歩、着実に語彙力を伸ばし、自信を持って英語を使える未来を目指しましょう。
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